開発計画・技術選定学習記事全11節Design
言語・保存先・配置先を、担当できる人と将来の変更しやすさから選ぶ
この記事で身につくこと言語・保存先・配置先の選定に保守担当者・費用・移行可能性・学習負担が関わる理由を説明し、規模・安全性・費用・変更容易性から比較して採用案・非採用案・見直し条件を書ける。
記事内目次(25項目)
この記事の会社・人物・数値はすべて架空の設定です。実在する会社や案件とは関係ありません。
この記事は何の話か。03-02で候補に残した作り方(Webアプリ)を前提に、実際に使う言語・データの保存先・アプリを配置する場所を選ぶ話です。
なぜ必要か。技術の選定を「詳しい人が知っているから」「流行っているから」で決めると、その人が異動した後に誰も保守できなくなったり、後から変更できず作り直しになったりします。
この記事を読むとできるようになること。
- 言語・保存先・配置先の選定に、保守担当者・費用・移行可能性・学習負担が関わる理由を説明できる
- 候補技術を、誰が保守するか・別の技術へ移れるか・学ぶ負担で比較した技術選定理由書を作れる
- 規模・安全性・費用・変更容易性から比較し、採用案・非採用案・適用限界・見直し条件を書ける
読む順路。この記事は3つの深さで読めます。全部を順に読む必要はありません。
- 基本だけ理解する:第1節→第3節→第4節→第5.2節の表→第9節。ここまでで「何を選ぶか」と「比較の軸」が分かり、ひな形を埋め始められます。
- 作って確かめる:上に加えて第6節(失敗例と直し方)→第7節。
- 設計判断を深める:上に加えて第8節(トレードオフ、適用限界、見直し条件)。
1. 今回の業務課題と完成するもの
この記事でやることは、03-02で候補に残した作り方(Webアプリ)を前提に、言語・データの保存先・配置先という3つの技術を選び、その理由を書き残すことです。
「Webアプリで作る」と決まっても、実際に使う言語や保存先はまだ決まっていません。この記事では、それぞれの選定理由を、誰が保守するか・別の技術に移れるか・学ぶ負担という観点で整理します。
この記事を読み終えると、次のものが手元にできます。
- 技術選定理由書(対象、候補、比較軸、採用、非採用理由、前提、見直し条件)
2. 前提知識と読む順路
この記事で使う言葉を先に説明します。
保守担当者
一言でいうと、稼働後にシステムの不具合対応や小さな修正を行う人です。運用管理者という役割自体は記事Aで確認済みですが、「総務の担当者1名」という人数は正本に根拠がなく、03-01が演習のために置いた教材上の仮定です。この記事では、その仮定を前提に保守担当者を検討します。
これがないと、「今作った人しか直せない」技術を選んでしまい、担当者が変わった時に誰も対応できなくなります。
移行可能性
一言でいうと、今選んだ技術から、後で別の技術に切り替えられるかどうかです。たとえば、保存先を選ぶときに「後で別の保存方法に移せるか」を確認しておけば、規模が大きくなった時に作り直さずに済みます。
学習負担
一言でいうと、保守担当者がその技術を学ぶのにどれくらいの手間がかかるかです。
言語・保存先・配置先
一言でいうと、「何で書くか」(言語)、「どこにデータを置くか」(保存先)、「どこでアプリを動かすか」(配置先)という3つの技術選定の対象です。
読む順路:作り方の候補(Webアプリ)は03-02が該当します。次工程の作業計画は03-04が該当します。この記事だけでも進められるように、必要な説明は本文に含めています。
3. 理解する:なぜ選定理由が必要か
3.1 選定に関わる4つの観点
| 観点 | 確認する内容 |
|---|---|
| 保守担当者 | 稼働後にその技術を保守できる人がいるか |
| 費用 | 導入・運用にかかる費用が、03-01で確認した予算の制約(未確定)と矛盾しないか |
| 移行可能性 | 規模や要件が変わった時に、別の技術へ移れるか |
| 学習負担 | 保守担当者が学ぶのにどれくらいの手間がかかるか |
3.2 技術選定を先走らないという原則
この記事では、特定の製品名・言語名を挙げません。本文中は「候補1」「候補2」という仮の表示で説明します。理由は、特定の製品を早く決めることよりも、「何を基準に選んだか」を書き残すことの方が重要だからです。基準が書いてあれば、実際の候補が変わっても選び直せます。
3.3 よくある誤解
「詳しい人が知っている技術を選べばよい」。詳しい人が異動・退職した後、他の誰も保守できなくなる危険があります。保守担当者(03-01が置いた教材上の仮定「総務の担当者1名」)が学べるかどうかを基準にします。
「一番新しい技術が一番よい」。新しい技術は情報が少なく、学習負担が大きいことがあります。この業務の規模に見合った技術かを確認します。
「後から変更すればよいので、今は仮決めでよい」。保存先など、後から変更しにくい技術もあります。移行可能性を確認せずに仮決めすると、作り直しになることがあります。
「AIに技術を選ばせればよい」。AIは技術の一般的な特徴を提示できますが、保守担当者が誰か、予算がどれだけかは、この業務固有の情報であり、人が判断します(第4.3節)。
4. 判断すること
4.1 何を確認すればよいか
| 確認すること | この記事での扱い |
|---|---|
| 言語・保存先・配置先の候補が、保守担当者(03-01が置いた教材上の仮定「総務の担当者1名」)にとって学習負担が大きすぎないか | 各対象ごとに第5.2節で確認する |
| 03-01の制約(データ持出し未確認、社外アクセス可否不明。ネットワークの社内限定は教材上の仮定)と配置先の候補が矛盾しないか | 第5.2節・第8節で確認する |
| 02-03の品質条件(安全性・速度)と候補が矛盾しないか | 第5.2節で確認する |
4.2 勝手に決めてはいけないこと
- 03-02で候補に残した作り方(Webアプリ)を、この記事で変更しません。
- 03-01の制約(未確認事項を含む)を、この記事で「確認済み」に書き換えません。
- 特定の製品名・言語名を断定的に選定結果として記載しません(第3.2節)。
4.3 AIに任せる範囲
各技術の一般的な特徴(学習負担の傾向、移行のしやすさの傾向)の提示はAIに任せられます。しかし、保守担当者が誰か、予算がどれだけかというこの業務固有の情報を踏まえた採用・非採用の判断は人が行います。
5. 作って確かめる:技術選定理由書を作る
5.1 準備
03-02の候補方式(Webアプリ)、03-01の制約一覧、02-03の品質条件一覧を用意します。保守担当者「総務の担当者1名」、配置先の社内ネットワーク限定は03-01が置いた教材上の仮定であり、正本で確認された事実ではないことを踏まえて進めます。
5.2 技術選定理由書(03-01の教材上の仮定を前提にした比較例)
| 対象 | 候補 | 比較軸 | 採用 | 非採用理由 | 前提 | 見直し条件 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 言語 | 候補1:資料が豊富で、保守担当者が学びやすい言語<br>候補2:実行速度は速いが学習負担が大きい言語 | 保守担当者が学べるか、資料の豊富さ | 候補1 | 候補2は、03-01が置いた教材上の仮定「総務の担当者1名」が短期間で学ぶには負担が大きいため非採用 | 保守担当者は今後も「総務の担当者1名」という教材上の仮定を想定 | 保守担当者が増員され、専門知識を持つ人が加われば見直す |
| 保存先 | 候補1:単一ファイルで完結する、追加費用のかからない保存方式<br>候補2:専用のサーバーを別途用意する保存方式 | 費用、移行可能性、運用の手間 | 候補1 | 候補2は予算が未確定(03-01、未確認)な段階で追加費用を伴うため非採用 | 利用者数・データ量は小規模を想定(記事Aと同じ設定) | 利用者数やデータ量が大きく増えたら、候補2への移行を検討する |
| 配置先 | 候補1:社内ネットワークの中だけで完結する配置<br>候補2:社外のクラウドサービス上に配置 | 03-01の制約(社外アクセス可否・データ持出しが未確認)との適合 | 候補1 | 候補2はデータを社外に置くことになり、03-01で未確認のデータ持出しの制約に抵触する可能性があるため非採用 | 社外アクセス可否は未確認。確認できるまでは、03-01が置いた教材上の仮定(社内ネットワークのみ利用)に基づく比較例とする | 社外からのアクセスが必要になり、かつデータ持出しが確認済みになれば候補2を再検討する |
この理由書は、03-01の教材上の仮定(社内ネットワーク限定、総務の担当者1名)を前提にした比較例です。仮定の内容が変われば、選定結果も変わります。
5.3 AIに理由書の下書きを頼む
各候補技術の一般的な特徴をAIに提示させ、比較表の下書きを作らせます。
Webアプリとして依頼・承認管理を作ります。言語・保存先・配置先を選びたいです。保守担当者は1名(教材上の仮定)で、専門知識は多くありません。予算は未確定です。社外アクセス可否は未確認で、ここでは社内ネットワークのみ利用するという教材上の仮定で進めます。データを社外に出してよいかも未確認です。
依頼:
1. 言語・保存先・配置先それぞれについて、学習負担・費用・移行可能性の観点で候補を2つずつ挙げてください。
2. 特定の製品名・言語名は挙げず、「候補1」「候補2」として、その特徴だけを説明してください。
してはいけないこと:
- 特定の製品名を断定的に挙げないでください。
- この業務にとっての正解を決めないでください。判断は人が行います。
6. 初稿・失敗例・修正
6.1 説明用の失敗例(AIの初稿という設定)
AIへの依頼の結果、次のような下書きが返ってきた、という設定にします(実際のAI出力を観測したものではありません)。
- 配置先の候補2(クラウドサービス)について、「一番機能が豊富でおすすめです」と、03-01の未確認の制約に触れずに採用を勧める記載
- 言語の非採用理由が書かれておらず、候補1を選んだ理由だけが記載されている
6.2 見つけ方と直し方
- 制約に触れていない:03-01の未確認の制約(データ持出し)を無視した記載です。配置先の非採用理由に、制約との適合を明記します。
- 非採用理由が無い:完了条件「非採用案と適用限界がある」を満たしません。候補2(学習負担が大きい言語)の非採用理由を追加します。
指摘:
1. 配置先の候補2について、03-01で未確認のデータ持出しの制約との関係を明記してください。
2. 言語の候補2について、非採用理由を追加してください。
変えないこと:
- 03-01・03-02・02-03の内容そのものは変更しないでください。
6.3 修正後の理由書
修正後の技術選定理由書は、第5.2節のとおりです。
7. 確認結果
第5.2節の理由書を、完了条件と照合します。
| 完了条件 | 確認結果 |
|---|---|
| 言語・保存先・配置先の3つに選定理由がある | 3対象すべてに採用・非採用理由を記載 |
| 非採用案と適用限界が書かれている | 3対象すべてに非採用理由を記載、適用限界は第8.2節に記載 |
| 見直し条件が書かれている | 3対象すべてに見直し条件を記載 |
残る制限:この理由書は架空の制約・品質条件に基づく一例です。「総務の担当者1名」「社内ネットワーク限定」は03-01が置いた教材上の仮定であり、正本に根拠のある確認済みの事実ではありません。配置先の判断は、03-01の未確認の制約(データ持出し、社外アクセス可否)が確認できるまでの暫定的なものです。この記事の本文と記入例はClaude Codeが作成したもので、業務担当者による内容確認は行っていません。
8. 設計を判断する
8.1 規模・安全性・費用・変更容易性からの比較
| 観点 | 採用案(候補1側)での状況 |
|---|---|
| 規模 | 小規模な社内利用(記事Aと同じ設定)に見合っている |
| 安全性 | 配置先を社内ネットワーク内に限る(教材上の仮定)ことで、02-03の安全性条件(社外への意図しない持ち出し防止)に沿う |
| 費用 | 追加費用が発生しにくく、03-01の未確定な予算制約と矛盾しない |
| 変更容易性 | 利用者数やデータ量が増えた場合は、保存先・配置先を候補2側へ見直せる余地を残している |
8.2 適用限界
この記事の選定は、架空企業「みらい業務サービス」の小規模な社内利用、かつ保守担当者1名(03-01が置いた教材上の仮定)という前提に基づいています。保守担当者が増員される、あるいは利用者数が大きく増える場合は、費用や移行可能性の前提が変わるため、第5.2節の理由書を見直す必要があります。また、これらの前提自体が教材上の仮定であるため、実際の企業では改めて確認したうえで選定をやり直す必要があります。
9. 持ち帰る成果物
| 成果物 | 空欄版 | 記入例 |
|---|---|---|
| 技術選定理由書ひな形(対象、候補、比較軸、採用、非採用理由、前提、見直し条件) | templates/03-03-tech-selection_template.md | templates/03-03-tech-selection_example.md |
自分の業務に使うときの手順は次のとおりです。
- 前工程(03-02の候補方式、03-01の制約、02-03の品質条件)を用意する
- 対象(言語・保存先・配置先など)ごとに候補を2つ以上挙げる
- 保守担当者・費用・移行可能性・学習負担の観点で比較する
- 採用案・非採用理由・前提・見直し条件を書く
10. 次工程への受渡し
次へ渡すもの:技術選定理由書(採用案:候補1側の言語・保存先・配置先)。
次工程での使われ方:03-04(作業順序・費用・役割を決める)では、この選定結果を前提に作業の順序と費用の見積条件を決めます。06-01(環境準備)では、採用した技術に沿って開発環境を整えます。
前工程へ戻る条件:採用した技術が03-02の候補方式(Webアプリ)を実現できないと分かったら、03-02に戻って候補方式を見直します。
11. 根拠と更新情報
- この記事の会社・人物・比較結果はすべて架空の設定です。
- 第6節の初稿は説明用の失敗例であり、実際のAI出力を観測した記録ではありません。
- 特定の製品名・言語名を挙げないという方針は、教材設計書
AI_SYSTEM_DEV_BLUEPRINT_v0.1.md第8.4節「技術選定を先走らない」に基づきます。 - 制作の来歴:本文・ひな形・記入例はClaude Codeが作成しました。人(ユーザー)による実読・内容確認は未実施です。
- 未確認事項:配置先の判断は、03-01の未確認の制約(データ持出し、社外アクセス可否)が確認できていないことを前提にした暫定的なものです。
- 教材上の仮定:「総務の担当者1名」「社内ネットワーク限定」は、いずれも03-01が正本に根拠なく置いた教材上の仮定であり、確認済みの事実ではありません。
- 更新履歴:2026-09-20、ユーザーレビューにより、「社外からのアクセスは不要という02-02の対象範囲」という誤った記載(02-02に該当する決定はない)を削除し、社外アクセス可否は未確認である旨、および保守担当者・配置先の前提が03-01の教材上の仮定であることを明記しました。
